「自分でやった方が早い」の組織論@動物病院

こんにちは、北村(@plan-b)です。

 

私がご支援させていただく動物病院は

開業10年目前後の病院が多いです。

 

年数を重ねるとともに、スタッフさんの数が増えて、スタッフさん自体もベテランから中堅から新人と在籍年次の階層が生じて、組織としての問題が起こりやすい時期と言えると思います。

 

院長先生がご自身の手に余ってしまうものとして、よくご相談いただくのはスタッフ同士の関係、人間関係です。

 

院長とスタッフさんの個別の関係性なら、院長の意識掛け次第で何とかなるかもしれないですが、スタッフ同士、いわゆる他人同士の揉め事に介入していくには院長の時間がなさすぎるし、その労力を使うなら別のところに充てたい、そんなお気持ちはよく理解できます。

 

ただ、スタッフ同士の人間関係のせいでスタッフがいつかないとか、そんな理由で退職が続いてしまう状況は見過ごせない事態だと思います。

 

ということで、今回の記事は、

 

  • - 新人が育たないマネジメントの隠れた原因
  • - 組織にとっての正義
  • - 実態に即したチームマネジメントを

 

こんな内容をシェアさせていただきます。

 

いつもの通り私個人の考えや意見を述べています。皆さんそれぞれの視点を持って読み進めていただけるとうれしいです。コメント等いただけると励みになります。

 

 

新人が育たないマネジメントの隠れた原因

 

動物病院でのご支援にあたって、私の役割は様々にありますが、院長との面談は元よりスタッフさんとの1on1ミーティングの比重が大きくなっています。

 

それこそチームをまとめるリーダー的な役割を担うスタッフさんから、入ったばかりの新人さんまで、皆さんと面談させていただいています。

 

冒頭で取り上げたスタッフ同士の人間関係の問題についても、1on1ミーティングを行うと、問題の背景がとてもよく見えてきます。

 

問題の多くは、マネジメントに起因するものです、

 

誰が嫌いとか、そういった稚拙な感情論の話ではなくて、また、新人がやる気がないとか、素養・資質についての事でもないです。

 

純粋に組織としてマネジメントでの未成熟な部分があって、それが故に問題が発症していることが多い印象です。

 

では、組織としてマネジメントの未成熟な部分は何か。

 

ひとえに『先輩のマネジメント教育』だと思います。

リーダー研修、管理職研修と外部で様々なセミナーが開催されています。

 

具体的なテクニックを身につけることも大切ですが、一番大切なのは先輩としての心構え、マインドセットの部分だと感じます。

 

 

組織にとっての正義

 

開業から年数を重ねて、患者数が増えて、スタッフの人数が増えて、いわゆる動物病院が成長していくにあたって、そこで働くスタッフさんに求められる役割は変わっていきます。

 

開業当初でスタッフの人数が少ない時は、色々と揃っていない環境の中でオールマイティーこなせるスタッフさんが重宝されると思います。

 

開業からの時期を乗り越えて、病院と一緒に成長したスタッフさん、ベテランスタッフさんとも言えますが、サバイバル力にも長けた、ある程度の耐性もある院長先生や経営者サイドにとって、欠かすことのできない人材になっているはずです。

 

その一方で、新しいスタッフさんは、ある程度出来上がった病院に、人手不足を解消する意味合いで採用されることになります。

 

ベテランスタッフさんと新人スタッフさん。

両者の間には明らかな心構えの部分でギャップが生じているので、こういった部分からスタッフ同士の問題が発生していくことになります。

 

院長がまだ手の届くキャパがあればいいのですが、スタッフの数が増えてくるとそういったフォローも難しくなっていきます。

 

オーナーさんを少しでも待たせないように、診察を少しでも効率よく回したいスタッフさん。

ミスをしないように、丁寧に進めていきたいスタッフさん。

 

衝突するのは目に見えています。

 

この場合、組織にとっての正義になるのはベテランスタッフさんです。

 

診数数が増えて、少しでも効率よく診察を回したい、回さなければいけない使命があると思います。これまではそれが絶対的な正義だった訳ですから。

 

ただ、ここで注意したいのは、その使命感を院長先生としっかりすり合わせできているかどうかです。

 

院長先生の考え方は微妙に変化してきているはずです。

診察数をさらに増やしていきたい。診察効率を上げていきたい。

ただ、その一方で、新人スタッフはやめさせずに育てて、人数を増やしていきたい。

 

診察の回転率を上げながら、新人をちゃんと育てて増やしていく。

 

こうなると、ベテランスタッフさんは、ある種相反した目的に取り組む必要が出てきますので、ベテランスタッフさん自体も問題を抱えることになります。

 

そしてどうなるかと言うと、自分でやったほうが早いと、すべての仕事を抱え込んで、新人スタッフさんにきつく当たってしまう。もしくは無言の圧力でプレッシャーを与えてしまう。

 

こういった状態が私がよく遭遇するチーム状況です。

 

 

実態に即したチームマネジメントを

 

先述したような相反した目的に取り組むベテランスタッフさんに求められる、クリアすべきハードルはとても高いです。

 

「自分はここまでやってきた」という自負があるので、どうしても「自分だったら」と言う価値基準を下のスタッフに向けてしまいます。

 

院長としても端から見ていてベテランスタッフさんの言っていること、やっていること、全てが病院にとっての正義ですし、責任感が強いので任せてしまいがちになります。

 

ただ、ベテランスタッフさんと下のスタッフさんの基準がマッチする事は少ないので、話が通じたない、思ったように動いてくれない、とベテランスタッフさん自身がとても苦しくなります。

 

こういう状況の中で、何が必要かと言うと、

 

  1. 病院にとっての正義を院長自身が検証する
  2. 組織を大きくしすぎないという正義があってもいい
  3. 組織を大きくするなら、ベテランスタッフの正義、心構えを変える
  4. ベテランスタッフさんに育成のやり方を教える
  5. 浸透するまで長期間のフォローアップ

 

こしうたマネジメント計画が必要になります。

 

今回はベテランスタッフさんにフォーカスして話を進めていますが、ここに院長先生の問題が重なるケースもとても多いです。

 

院長先生のフラストレーション、先行きの見えない病院経営、チームが思うように動かない、離職が続く、スタッフが採用できないなど、こんな状況が続けば、冷静さを欠いてしまうこともあるでしょうし、致し方ないと思いますが、その不安定さはチームマネジメントに大きな影響を与えます。

 

ここまで来てしまうと、日々の診察を抱えながらではもう難しいですね。

 

かといって、外部にお願いをしたとしても解決できることは少ないと思います。

 

  • 院長ご自身の自己認知アプローチ(自分を扱う技術)
  • 動物病院経営のゴール設定(正義)と具体的な行動計画
  • 組織マネジメントにおける知識と経験(人と関わる技術)
  • カウンセリングスキル
  • コーチングスキル など

 

PLAN-Bでは、こうした技術を身につけていただくセッションをおこなっています。

 

悶々と悩まれるのではなくて、今は技術が足りない、ただそれだけですので、悲観されることなく、ご自身の余力とバランスをみながら前向きに取り組んでいっていただけたらと思います。

 

何かひとつを取り組まれるだけでも、大きな効果を実感できるはずです。

 

今回の記事では

 

  • - 新人が育たない隠れた原因
  • - 組織にとっての正義
  • - 実態に即したチームマネジメントを

 

以上の内容をシェアさせていただきました。

 

皆さんのご意見ご感想をお寄せください。

 

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